【完】最初で最後の恋

そして、手術の日がやってきた。
朝から奈央が傍にいてくれた。
仕事は休みをとったらしい。
時間が近づくにつれ、俺の手は微かに震えていた――……。
「ハハっ、だせぇな、俺。手ぇ…震えてるでやんの!」
そう言うと、奈央はそっと手を重ねた。
「ダサくないよ。瞬は、ダサくなんかない。誰だって、手術前は怖いよ。瞬、瞬は1人じゃないよ。おばさんや、美幸さん…それに、あたしだっている。ね?そう思えば…大丈夫でしょ??」
奈央の一言一言は、とても温かく、俺の心に響く。
「…うん」
「瞬なら、大丈夫。きっと、成功する!」
「あぁ!奈央からのお守りもあるし、大丈夫だよな!」
「うん!あ、もう少しで手術だね…。最後に、これおまじないね」
そう言うと、奈央は唇を優しく重ねてきた。
奈央の優しさが、伝わってくる――……。
「サンキュ!奈央、行ってくる」
「行ってらっしゃいっ!」
俺は手術室へ入っていった。

手術が、始まった――…。

奈央、俺…

頑張るから。