「これ、奈央に」
俺は引き出しから指輪を出した。
奈央はそれを開けた。
「っ」
目を見開く奈央。
俺はそれを奈央の細く白い指にはめた。
「いつも俺は、奈央にもらってばかりだから」
ホントに、奈央にはいろんなものをもらった。
いや、“もの”だけじゃない。
いろんな“気持ち”を、たくさんもらった
「そんなの、気にしなくていいのに…」
「ちゃんと、あげたいと思ってたんだ。俺は、奈央を傷付けてばかりだから」
いつも、いつも…奈央を傷付けてばかり。
「そんなこと、ない!あたしは、瞬が傍にいるだけで、十分幸せだもん」
あぁ、こんなことをサラッと言う奈央は、優しくて、可愛くて…。
俺は触れるだけのキスをした。
「好きだよ、奈央」
「あたしも、好き」