「いらねーよ。お前…昼飯だろ?」
「いえ、いいんです。私、お弁当持ってきてたのに忘れて
買っちゃったので。あっ!」
こいつ、天然なんだ。
ふつう忘れねぇだろ…
桜庭は、手に持っていたお茶まで俺に渡してきた。
「いいよ...そこまでしなくて」
「いや、パンは喉に詰まりますから!それでは」
ペコリと頭を下げて、
髪のお団子を揺らしながら走ってった。
後でわかったこと。
桜庭は嘘をついていた。
帰りに、
「お昼抜きダイエットしたから、おなかすいた~。ヒロおごってぇ」
と言っている桜庭を見かけた――。
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