へたりと座り込んだ途端、
気配を感じることもなかった
殺気が目の前にあり
首に突きつけられた刀...

「何者だ...」
「伯耆様っ、だめっっ。お姉ちゃん、デッカい妖怪から葵のこと助けてくれたの。」
刀を向ける男の腕に縋り付く葵ちゃん、ハッとして顔だけ上に向け口を開いた。
「私は、紅実と言います。」
見上げた顔は白銀の長髪を惜しげもなく流し、貫くような真紅の瞳、この世のものではないくらいの美しさだった。

「お前、水神か。だいぶ弱いが...」
「す、水神??」
「お前も、妖怪の血を引くの者だと言っている。」
「え...、」
「どこから来た。」
「わ、私、神と名乗る人に連れてこられて...」
「そう言えば、お姉ちゃん 変な着物着てるね。」
「あ...    きゃあっ」
「煩い、葵、出かけてくる」
「はい、伯耆様。いってらしゃーい。」
伯耆と呼ばれた男にとつぜん抱えられた私。
自分が妖怪だの何だの、いざ帰る手段がないことを知ると怖くて、
頭のなかはグチャグチャ。