「てか、人には『さん』付させといて、自分は『お前』呼ばわりなわけ?」

シロップが話しているときに少しそのことが癪に障っていた。


「だってお前まだ名前が無いだろ。」

さも当たり前の様に訳の分からないことを言い出す。


「え....いや、あるけど。」


「あぁそうか、来たばっかりだもんな...知らないのも当たり前か。」

そう頷きながら、シロップはくるっと向き直してあの立派な家に向かって歩き出す。


え....なに?

説明してくれない感じなんだ.....


振り向きもしないで、どんどんと先へ進んでいくシロップ。

これはついてこいという合図なのか、何なのか....


けれど、この場合ついていかないと話が進まないんだろうな。