「どうしたんですか?ボーっとして....」

そう言って、メープルは目だけを動かしてチラリと男を見る。

そして、何度かあたしと男を見ると何かを納得したように満面の笑みであたしを見て大きく頷いた。


「な..なんだよ。」

クスクスと笑う、その素振りがなんだか気に食わない。

何か変な解釈をしたに違いない。


「別に...なんでもありません。」

以前、メープルの表情はニヤケたまま笑いを堪えているようだった。



「あ...あのぉ...ここのことを、教えてくれるんじゃないの?」

肩まで挙手をして、頭に葉を付けた男はまたしても無表情であたし達を見上げている。


敬語でなかったことに対して少し腹を立てつつも、今はそんなことを気にしている場合ではないだろうと自分に言い聞かせる。