声からして男だろう。

草木で姿がはっきりと確認できずに少し不安になる。


ガサガサと木々を掻き分けてこちらに向かって歩いてくる。


石が当たったことについて文句を言いに来るのかと思い、少し身構えをする。



けれど、そんな心配をしたことが馬鹿らしく思えるくらい間抜けな顔をした奴が、木々の間から現れた。

頭に葉っぱを付けたそいつはこちらを見るなり、なぜか動きを止める。


その仕草に少し不快感を覚える。


「何?」

思わず、自分から口を開いてしまう。


「え...いやその..」

そいつは言葉を探すように目を泳がせて、ソワソワする。