掴まれてた所が少し赤くなっていた。 それを見た工藤君は周りをキョロキョロ見渡した。 「ちょっと待ってろ…」 「へ? うん」 あたしは近くのイスに座って待っていた。 「早乙女」 急に暗くなったのは工藤君の影だった。 工藤君の声は低くて安心する…。 「手…」 手……? あたしは訳がわからずに首を傾げた。 すると工藤君があたしの手をそっと持ち上げた。 さっきとは違う… 優しく、壊れ物に触れるように――― そして赤くなった所にハンカチを当てた。