Sugar × Spice Ⅲ〜ハジメテは年下幼馴染〜




「へー。で?咲はどうしたいワケ?

聞いてるとノロケにしか聞こえないんだけど」


私の職場である、とある会社の受付。


同僚であるミカが、私の隣で呆れたように言った。



「ノロケてなんか…

これでも私、悩んでるんだからね!」


結局日曜日は、涼のレポートが終わらなくてデートは中止。

平日は私も仕事で会えることもほとんどなくて、日曜日は2人で会える貴重な時間なのに……。

涼だって、大学が忙しいのは分かるけど…

これじゃ幼なじみの時と何も変わらない。



デートらしいデートだってまともにしてないし、これって“付き合ってる”って言うの?


あんなキスまでしておいて……

“俺の女”って…何よそれ……




「つ、付き合うってもっとこう…一緒にいる時間を大切にするものでしょ?」


「仕方ないじゃない。咲も働いてるんだし、涼君だって大学の課題とかで忙しいんだから。

もっとイチャイチャしたいのは分かるけど、ヤることヤってんでしょ?」


「ちょっ、ミカ!!」


私は驚いて周りを見渡した。


「声大きいよ、もう!


私たちはまだ…その、や、ヤっては……」




私は小さくひとつ、息をつく。




「……でも、涼…その….エ、エッチな本、持ってた…」







「はぁ?!何言ってんの、そんなの当たり前でしょ?!

18の健康な男なら、エロ本のひとつやふたつ持ってない方がおかしいわよ」


「ちょ、だから声大きいってば!」



私はミカに向かって小さく怒鳴った。



涼のキスを思い出す。


涼の手が、私の胸に触れ……




…そうだよね。


涼だって年頃だもん。興味あって当然だよね。

エッチだって、本当はしたいに決まってる。


お互いすれ違いで、そんな時間がないのも事実だけど……



“俺、焦ってねぇし”


…本当は涼、ガマンしてる?

もしかして、私が“初めて”だから遠慮してるの?


それとも……


年上のクセに経験ないから、めんどくさくらなったとか…?


本当は、リードしてもらいたいって思ってんのかな…。





…私、涼の彼女だよね?


付き合ってるのに、不安になることばかり。


でも付き合うことすら初めてな私は、どうすればいいか分からないよ。

“好き”ってやっぱ苦しい…

“付き合う”って、幼なじみよりややこしいよ……