「お母さんの手伝いで、用事が出来たんだ」
─────思わず、言葉を濁していた
あの人を利用するくらいまで、何故か追い詰められているようで。彼の声が耳の奥から、今にでも聴こえてきそうだ
ああ、ああ。百合亜に嘘を吐いた
「へぇ、そうなの?」
不思議そうな彼女の顔
ダメ、ダメだよ。ちゃんと言わなくちゃ。百合亜にだけは絶対に。だって彼女は、私の大事な人
頭の中で2つの声が反響する
言ってしまえ。そう、言うんだ。だってこれは、もしかしたらとても簡単なことなのかもしれないのだから
「紅鈴、顔色わる、」
「違うの、あのね、百合亜。ごめんね、ちょっとだけ、聞いて」
鎖のように聞こえた彼の声から逃げるように、理性を戻して彼女に向き直る。駄目だ、何でこんなに弱まっているのだろう
まるで毒のように侵食してじわじわと蝕まれて行く。私は気づかないうちに堕ちて、少しずつぐったりとしていくんだ
なんて、恐ろしい
「私、最近神聖視されること増えたでしょう?」
「ああ、そう言えばそうね」
私の言葉に、ふ、と思い出したかのように頷く。最近はその影さえ見せないから、彼女が心配するようなことさえなかった
だから余計に、私の様子に敏感なんだ

