つくづく可笑しな人だなあ

そんなに綺麗な顔立ちをしているのに


「橘くん、モテるでしょ」

「え」

「かっこいいもん。女の子が放っておかないと思う」


私の問いに一瞬固まった彼を見て、即座に次の言葉を返す。瞬間的に驚愕に帯びた表情に、もしかしたらこれは彼にとっての禁句かもしれないと、不確かな考えを浮かべた


「・・・・・・・あ、アハハ!ちょ、照れるなぁ。いきなりそんなこと言わないでよ」

「橘くん?」

「ホント、うん・・・・」


何処か焦ったように早口で捲し立てる

可笑しな彼の行動に、思わず眉を寄せた。何故だか消極的に呟く様が、橘くんには似合わなくて


いつもしていない行動に、異常さを感じた気がした


「どうしたの、橘くん。体調でも悪いの?」


こんな寒い時期に外で集まっているんだ。そろそろ、どちらかが体調を崩してもおかしくない。いつも、雪が降っても長時間溜まっているくらいだし


段々と彼が心配になってきて、未だに俯いたままの顔へと、自分の顔を近づけた


「橘くん?」

「っっ、う、ぉ!!」

「ど、どうし」

「ご、めん・・・顔近くて驚いた」


ボケーっとしていた彼に声をかけると、突然後退して、後ろの段差に落ちた。うわ、大丈夫かな。痛そう

質問に対して彼の放った言葉は、先ほど私が突きつけた言葉で。数分前のデジャブに、思わず笑った