颯人の、知り合いだろうか
「・・・・どちらさまでしょうか」
「わー、”女神さま”態度悪いね。さすが颯人の女って言うか」
女神さま、その単語に、顔がこわばって、全身が固まっていくのを感じ取った
何でその事を、この人は知っているのだろう
高校は地元から比較的離れた場所を選んだはずだ。知っている人は少ないはずなのに、何故この人はすんなりとその単語を口にする
まさか、
「そ、れ」
「ん?」
「それ、颯人に聞いたんですか?」
思ったよりも震えて、掠れた頼りない声が響く
ダメだ。やっぱり私、立ち直ることが出来ていない
今も、怖い
人に距離を置かれることも、その名前だけで人が離れていくことも、嫌悪を露わにされることも、失敗することも、頼られることも
名前を、呼ばれることも
怖くて怖くて仕方がない
「何が?」
「女神さまって」
「ああ、違う違う。ちょっと他から聞いただけ」
その答えを聞いた瞬間、ホッとした
良かった。まだ彼は、この約束だけは守ってくれている
二度と耳にしないように、誰からも私を守ってくれると言ってくれた、あの約束を
もう1年以上前に聞いた、あの約束を

