しかも本人真顔で言って退けるから、余計に性質が悪いったらありゃしない


本人にその事を言えばからかわれるのが目に見えているので、言いはしないけれど


「紅鈴、紅鈴。」

「え?ぁ、何?」


あ、危ない。聞いてなかった


「この前、新しい雑貨店が出来たらしいから今度行くか?」

「へ?」

「近くにオマエが行きたがってた喫茶店があるから、どうする?」


・・・・・つまりこれは、遊びのお誘い?


「い、行く」

「ん。じゃあ、放課後日程決めるか」


そう言って、塞がっていた左手を空けて、私の髪をぐしゃぐしゃに掻き回した


彼氏よりも彼氏らしい友達って、どういうことだ

何かおかしくないか?


頭上に“?”が浮かんだままの私を、肩を震わせながら見ていたことに気づいたとき、私が少し怒ったことは、言わずとも分かっただろう





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窓の外を眺めていると、この間まで真っ赤だったはずの紅葉が、茶色に変化して寂しげに宙を舞っている

季節の境目はいつも全てが変化するから、何処か哀愁を感じてしまうのは、私の悪い所だ