心の中で増えていく憶測に、一旦さよならをして、漆黒を纏う彼の元へと足を運んだ


「庵」

「あ?・・・おぉ、紅鈴。おはよ」

「おはよう。先生に何頼まれたの?」


塞がっている両手を覗き来んで、質問をする


「今日の自習で使うプリント。ったく、教師ってマジで生徒使い荒いよな」

「人使いならぬ生徒使い」


上手いこと言ったな、なんて思いながら、庵の横を歩く


「半分持とうか?」

「オマエに持たせたら落とすのがオチだ。男の力舐めんなよ」


え。何この人

いま、さらっと私を貶したよね?


本日も庵さんは、所々毒舌が炸裂しているようです


「隣、歩いてるだけでいいから」

「っ!・・・・うん」


不意に飛び出した言葉に、心臓がもっていかれるかと思った


この人は何で、こんなにも乙女キラーな発言が多いのだろうか

何回も被害に遭っている私からすれば、もう少し抑えて欲しい

心臓に悪い

普段は毒舌しか言わないクセに時々、本当に時々、思ってもみない言葉が出てくるのだ