リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・9

あれは二年の秋に県で行われた、科学部の発表会の後、緊張の糸が途切れた私は、今いる科学準備室でイスに座った途端、眠ってしまった。

そんな私の隙をついて、先生が…。

「…でも寝込みを襲って、私が拒絶したらどうしようとか思わなかったんですか?」

背中に先生の重みを感じながらも、私は手に持った本を、棚に入れていく。

「ん~まあでも、お前さんに好かれていることは気付いていたからな」

自惚れ屋だとは言えない。

何せ本当に、私は先生が好きだし。

あれから何だかんだと一年以上が過ぎた。

進路の問題が出た時、二者面談を行なった。

その時、先生から言われた。

「高校を卒業したら、結婚しないか?」

―と。

流石に私は若すぎることは自覚していたので、返事は保留にしてもらった。

先生と私の関係は誰も知らないことだから、誰にも相談できないのがちょっとした悩み。

「先生は結婚を急ぐ年齢ですよね」

「言ってくれるな。でもお前さんの年代だと、十代で結婚も珍しくないだろう?」