ゆうや君に+20してください。

ゆうや君は、
私のリュックを
すっと下ろし、
私リュックも持つと、
ゆうや君の荷物も一緒に、カウンターのお姉さんに
預け、

私の右手を引き
ペンションではなく、
外に連れ出した。

「ゆうや君部屋は?」

ゆうや君は、
どんどん人気(ひとけ)の無さそうな森の中を進む。

私はゆうや君に手を引かれるまま、
ゆうや君が連れて行ってくれる場所にただ
向かう。

「ゆうや君?」

ゆうや君は突然立ち止まると、
私の方に振り向く。

「?」

ゆうや君が私を強引に引っ張り、ぎゅっと抱き締める。

ゆうや君の身体の熱が私の身体にも伝わり、
心臓がまた飛び出しそうにドキドキなり。

腰に回された手と、
肩に乗せられた手…。

肩に乗せられた手が離れると、
私の左手の首根っこ辺りをゆうや君の右手で上に挙げられて、時計を見る。

「この時計ずっと持っててくれたんだっ……
お祭りの時にあげてから」
私は自分で付けていた時計を少し見ると、
少し顔が暑くなった……。
「うっうん…始めてくれたプレゼントだから
肌身離さず持ってるよっ」
ゆうや君は、私から離れると私の時計を外す。

「あっ…ちょっと…」

慌てている私の反応を見て私の付けていた時計を
ポッケにしまい
ゆうや君は自分の付けていた時計を外し、
私の腕に付けて来た。

「……?」

ゆうや君が付けていた腕時計は少しゆうや君の
ぬくもりが残っていた。

ゆうや君は私の腕時計を、私の目の前に向けると
腕をクイクイっとやり、
付けてっと言ってる様だった。

私は自分でさっき迄付けていた腕時計を
ゆうや君の腕に付ける。

“カチッ”
っと音をたててはまると、ゆうや君は嬉しそうな顔をした。

「戻ろうっかっ」

ゆうや君はその夜、
同じペンションの部屋に行き……シャワーを浴びると何事も無く先に寝息をたてて寝てしまった。

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