しかし今日は、
学園の事務所が閉まっていて誰も居ない。

貼り紙には台風接近に
伴(ともな)い 
勝手ながら休みとさせて
頂きます。

の文字…
私の中に、
ダイキ君の姿が浮かび
嫌な予感がした。

気になる気持ちが、
男子寮にへと向かわせる。

“ざわざわ”

“ざわざわ”

なぜか騒がしい男性の声が廊下に響いている。

普段なら立ち入る事の無い女性の姿迄…。

私が近寄ろうとした瞬間、右腕を掴まれ
その瞬間手を引っ張られた。

引っ張ったのは…。

「ゆっ…」


ゆうや君は、
周りの様子を伺い背を少し低め隠れるような態勢を取り
私の口を手で覆う。

「…今は近寄らないほうがいいよっ…
ダイキ君に会いに来たんだよねっ…?」

私の行動は見透かされたかの様に、ゆうや君に当てられうなづく。

「ダイキ君なら大丈夫…
僕の部屋に一時的に避難させて居るから…」

ダイキ君の事を心配して居たのは、私だけでは無かったかの様な言葉。

私は、生徒達の言葉に耳を傾けてみた。 「ったくっ…何なんだっこの騒ぎ…」

「知らないのかっ?ダイキって人が、
この階に住んでる事が気に入らないとかで
学園の生徒で、
この階から追い出そうとか計画した人が居て」

「…ダイキ?
あぁ〜人魚の呪いを
起こさせた本人…。
けど、噂ではもう人魚やっつけたって話で、
終わってる話だよなっ…?」


「でも、誰の仕業何だろうなっ…まだこの学園に災いが起きてるって話もあるけど」

学園の廊下では、
人魚とダイキ君の噂が飛びかい、騒ぎになっていた。

「ダイキ君気の毒だよねっ…命懸けで学園の生徒を
守ろうとして…
酷い傷まで負って、
学園の生徒のみんなは
知らないだけだよ…」

ゆうや君は、
ダイキ君の事をちゃんと理解して
状況を把握(はあく)し
様子を伺って居るように思えた。

「ゆうや君は大丈夫なの?ダイキ君を…」

ゆうや君は、私の言葉に、“しぃ〜”っと
人差し指を立て。

ゆうや君は私の手を取り
私はゆうや君についていった。

階段を降り、
ゆうや君は
部屋の前で止まりドアを開けてくれた。

「さっ…中に入って」

っと、
ドアを手で引き止め
私を先に部屋に入れてくれた。

“バタン”

ドアを閉めると、
奥の部屋の中から
誰かが走って来る姿が。

“バタバタ…”

「あはっ!菜月さん…
いらっしゃい」