私は、
決意したリョウ君を見送りダイキ君の元に戻った。

ダイキ君の居る場に戻ると辺りを見渡しても、
本来ここに居るはずの、
かりんちゃんの姿も、
ダイキ君の姿も見当たらない。


「かりんちゃん?
ダイキ君?」

名前を呼んでも、返事はない。

『もしかしたら…、
リョウ君を追い掛けて…』

何となく嫌な予感がした。

「お姉ちゃん…、
王の息子を探しているのっ?」

突然黄色いきつねの姿をした、精霊が現れ、
しっぽをフリフリ…。

「あなたはもしかして、
ダイキ君の精霊?」

私は、
きつねの精霊に、
問いただす。

きつねの子供は
しっぽをフリフリ、
何も答えずじっと、
見つめている。

「早くしないと危ないかも…、
あっちにほらっ抜け道がある…」

きつねの精霊は、
指を向けて、
私に道を教えてくれてた。

その頃リョウ君は、
人魚姫の元に、
ノエル(精霊)と、
乗り込む。

人魚姫は、建物の一番奥
白い通路を抜け、
海の中の海底が、
周りに見えいる。

『これで僕は、
弟やみんなを救う事が出来るのか…、
僕は、菜月さんを…』

リョウ君の心の中での迷いや不安を、かき消すかの様に、過去に起きた物事が、頭によぎる。