グッと唇を噛んで
涙を押し殺す。
今泣いたって、後悔するだけ。
そんなものは流したくない。
「はーるとっ!」
明るい口調で遥翔のデスクまで駆け寄った。
遥翔がさっきまで一生懸命書いてたものがあちらこちらにある。
私はそのうちの1枚を手に取った。
「春風…祭……?」
ってなに?
そんなもの私たちの高校にあったけ??
「あぁ、それ文化祭みたいなモン。特進クラスにだけある春の祭り。」
「へー。そんなこともやってたんだ。これ全部遥翔の仕事?」
「企画・運営は俺の仕事」
「なんかカッコいいね!!」
「そうでもねぇよ。俺は、裏方で仕事やってる奴のほうがよっぽどカッコいいと思うぜ」
向けられた笑顔に、素直に高鳴る鼓動。
ドキドキが甘酸っぱくて
少しだけ、くすぐったかった。
「あー、終わった!!」
「お疲れ様」
「悪いな、こんな遅くまで」
「ううんっ、平気。だって……」
だって、私
家帰っても1人だから……。
そんな言葉を、飲み込んだ。
「ほら、行くぞ」
私の様子に気づいたのか、遥翔は私の手を引っ張った。
少し強引な遥翔。
でも…分かる。私のこと、気遣ってくれてるんだって、分かる。
そのあと、家に帰ってからも
薄暗い部屋の中で、遥翔の温もりが消えることはなかった……。

