……って。
あれ?そういえば、……唯!!
あぁ、もう!私のバカ!!
唯のこと、すっかり忘れてた。
全速力で教室に戻る。
まだ休み時間…唯はまだ、私の机に座っているのだろうか。
それは、ないよね。
唯だってさすがに戻るでしょ。
それか、サボリ。
なぁーんだ、こんなダッシュすることなかったのに。
ゆっくり歩いて戻ろーっと。
そう思い、走っていた足を歩くスピードに戻す。
少しだけ上がった息を整えながら、私はさっきの出来事を思い出す。
〝サクラ、濡れてねぇか?〟
私…抱きしめられてたんだ。遥翔に。
なんか、感激しちゃう。
……叶わないって
叶ったら傍にいられないって
バカな私でも分かってるから。
知らなかった。
この恋が始まるまでは、こんな些細なことが
世界中のみんなに言いふらしたいくらい幸せなんだって。
でも、そのかわり突きつけられる現実は
泣きたいくらい、誰かにすがりついてしまいたいくらい切ないけれど。
でも、それでも
私は世界中にいる人の中からただ1人だけ。
遥翔…あなたに恋をした。
それは偶然であり、必然で。
私がどうあがこうと、変えられない気持ちなんだよね。
私は振り返り、遥翔がさっきまでいた場所を見つめる。
それだけで、胸がキューって苦しくなった。
これがきっと、恋の痛みなんだろう。
遥翔……ごめんね。
好きだよ。

