「なんだよ遥翔―!せっかく桜羅に当てようと思ったのによぉ!」
ちぇーっと唇を尖らせる透くん。
やっぱり当てるつもりだったんだ。いや、そりゃそうだよね。
あんな堂々宣言してたし。
ま、結果濡れてないからいいけどさ。
「ふざけんな」
「イッテ!」
遥翔はつまらなさそうにしている透くんのオデコをピンッとはじいて、私の方に向き直った。
「風邪ひくなよ。あ、あとこのタオル借りとく」
「す、捨ててもいいよ!」
「は?なんで?」
「だって、そのタオルもうボロボロだし。洗わないで捨てちゃっていいから」
ホントはそのタオル、小学生のころからずっと大切にしてきたタオルだけど、もう潮時かもって想ってたし。
それに…。
遥翔の家の洗濯機で洗われてもらえるほど高価なものでもない。
だから、捨てるなら
遥翔に捨ててもらいたい。
「バーカ。ちゃんと返してやるよ」
遥翔は、私の前髪を優しくクシャッと崩し
柔らかい笑顔を向けてくれた。
「今日、HR終わったらすぐ生徒会室来いよ」
「…うんっ!!」
遥翔が、みんなを連れて3年のフロアに戻っていく。
その後ろ姿を見つめているだけで、幸せがこみ上げて、溢れ出しそうになるのはなんでだろう?
恋をしてしまった女の子たちは、みんなこうなるのかな。
きっと…なるよね。
だって、〝好きになった人〟だから。

