___今日のHRの前のことだった。





「あぁもう!遥翔先輩ってなんであんなカッコいいんだろうねー!」

「ホントホント!もう遥翔先輩自体が罪だよね!」




あたしの前の席の子たちが集まって、遥翔の話をしていた。




聞くつもりなんてなかった、ただ、耳に入って来たの。

遥翔……あなたの名前だけが鮮明に。




あたしは最初、この話を普通に聞いていた。



だって、遥翔がカッコいいのは、この学校のみんなが知っていることだし。


この学校の大半の人が惚れていることも知ってる。





だから、平気だったの。

あの1言を聞く、その前までは…____。






「あ、そう言えばさぁ。遥翔先輩って何人も切り捨ててるらしいよ?」




頭を鈍器で殴られたような感覚だった。


ガヤガヤとうるさい教室も、あたし1人、異空間へ飛んだように静かになった。

その会話だけが、あたしの中で響く。





「えー?なにを?」

「だーかーらぁ、遥翔先輩と仲良くなっても告白したら、一気に突き放されるんだって。それが辛くて学校やめた子って結構いるらしいよ」




その後からの会話は、頭に入ってくることはは無かった。




ただ……



〝遥翔先輩と仲良くなっても告白したら、一気に突き放されるんだって〟



そんな言葉が、頭の中を何度も反芻した。