「えぇっ!?嘘っ、桜羅がぁ!?」

「ちょ…美羽、声大きいって!!」

「あ…ごめんごめん。」




テヘッと可愛らしく笑うのは、親友の美羽。


今は学校の昼休みで、遥翔に許可を得て、美羽を特進クラスの校舎に連れてきた。





その理由は……恋愛相談、なわけで。



私は遥翔を好きになったことを美羽に伝えた。


始めは、否定されるかと思ったけど…美羽は笑顔で喜んでくれた。





「で!?その後遊園地どうなったの!?告った!?」

「バッ!!バッカじゃない、告白なんて…できるわけな……」

「ダメだよー。告んなきゃ!せっかく会長の傍にいられるのにさ!」






美羽が腕を組みながら私を見る。

…うん、分かってるよ。




恋愛豊富な美羽の言うとおりだと思う。


自分の気持ちは伝えなきゃ、言葉にしなきゃ分かってるって。




でもさ、




「あんな噂聞いたら、告白もできないんだよね。」

「なに?あんな噂って…」

「ちょっとね……」

「気になるじゃん!教えてよ!!」

「……捨てられるんだって」

「え……」





自分の声が、うまく操作できない。


喉に異物がつっかえるような感覚で息苦しい。





…私は、偶然耳にしただけなんだ。





本人から聞いたわけじゃない。


だけど……やっぱり心が晴れるような話じゃないから。





私の頬を
一筋の涙が伝った。





「遥翔に堕ちたら…遥翔に告白したら……捨てられるんだって」