急激な恥かしさに包まれて、私は遥翔から顔をそむけ窓の外を見つめた。
それからは、ずっと1言も交わさないまま。
ただただ時間だけが過ぎていくようだった。
「遥翔坊ちゃん、着きましたよ」
優しそうなおじいちゃん執事の藤堂さんがドアを開けてくれた。
「ん」と、小さく返事をして遥翔は車から降りる。それに続くように私も車から降りた。
「気をつけて、いってらっしゃいませ」
「ほら行くぞ」
有無を言わさず手を引かれ、私は藤堂さんに軽く頭を下げ、遥翔について行った。
血管が浮き出るほど強い力が掴まれた腕から伝わってくる。
そこでも遥翔は何も話さず、前を向いてばかりで、振り返ってもくれなかった。
それが無性に寂しくて……私、どうかしちゃったのかな?
遥翔…何考えてんのかサッパリ分からない。
拗ねてんの?……理由分からないし。
怒ってんの?……身に覚えないし。
あぁ、もうよく分からない。
「遥翔っ!」
「なに」
ちょ……なに怒ってんの?
振り返った声が低い、冷たい目……、握られた手がひどく冷たい。
「怒らないでよ……、怖いじゃんか」
「別に、怒ってねぇよ」
「嘘!怒ってる!!」
遥翔はチッと軽く舌打ちすると、掴んでいた私の腕を離し、突き飛ばした。
突き飛ばされた私は見事にしりもちをついた。
「急に離さないでよ!!」
下から遥翔を見上げると、ゾクッとした。
さっきよりも冷たい瞳で、私を見ていたから…。
今の遥翔のどこにも、無邪気な遥翔はいない。
___なにがあったの?

