両親とほとんど会えなくて、まだなんも理解できなかった幼すぎる私。




___【仕事なの、我儘言わないでちょうだい】
___【今忙しいんだ、お母さんにやってもらいなさい】





いつもそうはぐらかす両親の考えが分からなかった。




なんで、なんで?


桜羅、いい子にしてるよ…
我儘も言ってないよ……


なのになんで、パパとママは桜羅が嫌いなの……?







小さい頃の記憶に、両親に抱きしめられた記憶なんてあるだろうか。

幼い頃の思い出に、家族で出かけた写真なんてあるだろうか。




…無いね。
そんな綺麗なモノ、私の家には存在しない。




哀しくて、寂しくて、心がはち切れそうだった。


そんなとき私は決まって、4歳の誕生日にお母さんからもらったペアのネックレスを握りしめて泣いていたんだ。



片方の翼は、公園で輝く笑顔で遊んでいた少年にあげた。



もちろん、まだ小さくて「ペア」の意味なんて知らなかったけど


2つあるから1つあげる、たぶんそんな程度の気持ちだったと思う。




『ゆーちゃん!』
__あなたは、誰?








その残った片方が、今でも私の首元で光ってる。


もう片方の翼はどこだろう…
あの男の子は元気にしているのかな……。



今思えば、あれがきっと私の初恋だったんだ。