でも、その甘え方が私には分からない。



小さい頃、親は家になんていなかった。いつも1人で。



頼る人もいなければ、甘える人さえもいなくて……。家に帰れば、多いくらいの万札が机に乱暴に置かれているだけ。





手紙もメッセージもない。


愛なんて、そのお金のどこからも感じられなくて。私はそのお金をごみ袋に捨てていた。





いらない
いらない…消えてしまえ___。




お金という汚い道具は、幼少期の私の心を深くえぐったんだ。






お金持ちなんか嫌いだ。
汚いじゃない、ひどいじゃない。

……そんなのに、成り下がりたくはない。




そんな一心で、私は生きてきた。





「……離してよ、遥翔」




不意に抱きしめられて、心は限界だった。

なんでこんな奴に……。




「あんたも、お母さんたちと同じじゃない……」




許せなかった。

私を捨てて、家族を捨てた__あの両親が。





決して貧乏ではない家庭で育っていた私。
その空間が嫌だった。




お金なんていらない
オモチャなんていらない

だから…遊んでよ。




パパ、ママ…桜羅と遊んでよ……
桜羅を、1人にしないで…____。