顔が熱い。


まだ唇や体のいたるところに遥翔の体温が残っている。










…夢じゃないんだ。









フフッと自分でも気持ち悪いくらいに、頬が緩むのを感じた。








___…








ピリリ…っと耳元で朝から鳴り響くケータイ電話。








「…はい」






もう誰よ。

こんな朝から、眠すぎ。






心の中で思いっきり悪態をつきながら、少し低い声で私は電話にでた。








『はよ。なんで不機嫌なんだよ』


「は、遥翔っ!?」


『気づかなかったわけ?バカだな』






大好きな人の声を朝から聞けるなんて…


私、幸せだぁ。






恋ってすごい。



好きな人ってもっともっとすごい。








さっきまで「朝から電話なんてかけてこないでよ」って思ってたのに



相手が遥翔だって、ただそれだけで、朝の電話がうれしいものになる。







「ばっ、馬鹿じゃないし!!」


『はいはい』





遥翔が電話の向こうでクスクス笑っているのが分かった。



でも、嫌な気持ちになんて、これっぽっちもならなかった。