「サクラ、なにか用?」
沈黙を切り裂いたのは、低いテノールの声だった。
私は、キュッと口を瞑んでから、そっと声を絞り出した。
「あ…のね……」
情けない。
乾いた笑みが零れるくらい、弱い自分に呆れる。
「遥翔は、スミレを愛してますか……?」
「え…___」
太陽の光が、雲の隠される。
遥翔の少し間抜けな声。
私も自分で言ったことに驚いていた。
こんなこと、聞くつもりじゃなかった。
もっともっと……っ。
もっとたくさん、聞きたいことは山ほどあったのに…。
私は何を聞いてるの?
…辛い現実を、耳にするだけなのに。
「…あぁ、愛してるよ。」
ズキン…っ。
きれいな笑顔に、胸が痛まずにはいられなかった。
好き…大好きだよ。
なんで、遥翔なんだろうね…。
なんで、こんなに遠い人を好きになってしまったんだろう。
遥翔の表情は、とてもやわらかかった。
目を細めて、ふんわりと、ホントに優しく笑うの。
その笑顔が好きだった…。

