私と、なにも瞳に映さない遥翔は
しばらく目を合わせていた。
逸らしたくても、逸らせなかった。
まるで、なにかに縛り付けられたかのように
体が動かなかった。
___ガタン
立ち上がった遥翔。
私を睨むように視線を流し、カバンを手に取る。
「なんだよ遥翔。帰んのか?」
「あぁ。今日はもう疲れた」
「ふ~ん、あっそ。じゃ、気を付けて帰れよな~」
ひなたが流すように言うと、遥翔はカバンを荒々しく持ち、あいさつも無しに部屋を出て行った。
虚しく、響く、ドアが閉まる音。
遥翔が去った音。
私の脳に深く焼き付く、あの色のない遥翔の瞳。
体が硬直したように動かない。
鼓動が速まってる…。
ただ、あなたを見ただけなのに……
憎たらしいほど、私のこの心は素直だった。
…このまま、時が経てば
忘れられる。
きっと…あなたを忘れることができるだろう。
人って、都合よくできているから。
でも…
____…この苦しい感情を捨てたくない。

