私は弟に近寄って「降りて、買い物してないからスーパー行くよ。」と言う。

弟がするするとジャングルジムから降りて、近くに置いてあった鞄を背負った。


「お前が、友達なら、ちゃんと言ってやれよ。」


手を繋いで歩き出す。有岡も後ろから着いてくる。

弟の麦わら帽子の向きを直しながら返す。


「ちゃんと、って?」

「そんな男と別れろって。あいつが不幸になるなんて目に見えて、」

「否定なら、誰にでも出来る。」


日差しが暑い。気づけば、もう夏だ。

太陽がジリジリとアスファルトを焦がしているんじゃないか、と錯覚しそうになる。