「お邪魔しまーす」 「おじゃましまーす!」 元気な声が響く。ぺしりと頭を叩く哀河に、悪戯っ子のような顔を向ける弟。 深沢さんがパタパタと廊下を走ってきて、まだ自分がエプロンをしていることに気付く。 「少し、あと五分だけ待っててください」 「はやくはやく!」 「ゆっくりで大丈夫ですよ」 いつもの深沢さんがかなり若返った気がして笑った。 弟はかなりわくわくしているみたいで、この前新しく買ってもらった靴を落ち着かせずにピョコピョコさせている。