結局私は他人に沢山甘えていた。

自分から顔を近づけた。唇を重ねる、その行為に有岡は満足するだろうか。

有岡は私の欲しい言葉を言ってくれる。でも、私は有岡の欲してる言葉が分からない。

咥内に入れられた舌に逃げていると、顎を掴まれた。溢れた唾液が顎を伝うのを感じて、有岡の指に伝うのが分かった。

ざらりと離れた舌に唇を舐められる。


「有岡のこと、好き。」

「俺もお前のこと好きですけど。」

「うん。」


有岡に借りた服の中に手が入って、下着を身に着けていない上体を這った。

「今とてつもなくシたい気持ちで一杯なんですけど。」

「やあ、ん、」

触りながら言う台詞じゃないと思うんですけど。
海の時に無いと見たはずの胸に手が這うのを感じる。

「弟居ない間に頂くのはちょっとどうかと思う。」

「考えてる、あいだは手、とめて。」

「うん?」

優しい顔で顔を覗き込まれて、顔を背ける。やだ、こんな顔見られたくない。