ドライヤーどこだろう。きょろきょろとベッドの下や棚を見ていると、
「何してんすか、エロ本とか俺持ってないから。」
「ドライヤーを。」
「突っ込めよ。そしてドライヤーはこん中。」
勉強机の引き戸を開けて、ドライヤーを出す。それにしてもお風呂入るの早いなあ、と有岡を見ると髪の毛が濡れている。
コンセントをさして、スイッチをつける。私が終わった後、有岡にもかけた。
「怒らないね、嘘吐いてたのに。死んだ人間が生き返ったのに。」
「世の中、何が起こるかわからねえから。」
「あ、今やっとわかった。有岡が顔が良い他にモテる理由。」
「なに?」
「軽い安請け合い。」
なんだそれ、という視線を向けられた。ベッドに寝転んだ有岡の枕元にあった漫画を手に取る。
よく分からないギャグ漫画。読んでみようかとも思ったけれど止めた。
「ちなみに父親も生き返って単身赴任中。車の女はね、弟の母親で、私の母親は何年も前に死んだんだけど。」
「ん。」
「色々あって一緒に住んでない。眠った?」
「聞いてる。」



