でも、それは普通のことだ。面倒なものには巻き込まれたくない、遠巻きに見て話している方が好き。
それは、生きるうえで一番楽で楽しい方法。何も間違っていない。
怒田は、それでも入学式の時に話しかけてくれた。
「俺、同じ中学から来てんだけど知ってる?」と。
遠慮がちに聞いたその言葉に、何故か好感をもてた。
「有岡は哀河の親が亡くなった時のこと言ってたけど…哀河の親って。」
「あ、うん…ちょっと言いにくくて。」
だと思った。と続けられて、怒田は伸びをする。
「あれ、もしかしてそれで殴り合い?」
「ザッツオーライト。」
「すいません…。」



