「無理。それは出来ません。」 有岡、と頭の中で呼んだ。 さっき出て行ったあの扉から戻って、帰ってきて。 今まで思ったことのないことを思う。 『じゃあ、本人に聞いてみてよ。もしも、あの子が良いって言ったら会せて。』 「自分が切羽詰まったからって、全部を子供に押し付けるつもり?」 大凡、祖母に何か言われたんだろう。弟をその為に貸し出せって言うの? あり得ない。