「おい、」 低い声に現実に戻された。 目を瞬かせながら、コンロの前に立つ有岡を見た。 お味噌汁がふきこぼれていたらしく、有岡が止めてくれたらしい。 「あぶねーな。」 「ごめん、ありがとう。」 「熱でもあんのか?」 直に額に手が当てられる。有岡の手の方が暖かい。 反射的に固まると、笑われた。 「何?」 「いや、可愛いなと思って。つーか、体温が低すぎる。」 このチャラ男は…、と後ろに下がろうとする。