私には分かった。 廿楽は、ここで復讐をしようとしている。 「有岡が哀河に気持ちが移ったのは、由比の所為じゃん。あんたがちゃんと引き止められなかったんでしょ?」 「だとしても、廿楽には関係ない。」 「って、哀河が言ってた。」 じろりと、由比さんの視線が廿楽から私に移る。 蛇に睨まれた蛙ってこんな気分だったのか。 チャイムが鳴った。 「有岡に、嘘吐いてるくせに。」 背中が震えた。