今年はすぐに夏が退いて、秋が来た。 「…そうなのかなあ…。」 曖昧な返事。でも、否定じゃない。 「成長したよなーお前。」 「うん?」 「前は人と目合わせんのも拒否してたのに。」 キミはお兄ちゃんか。 「そしてちょっとジェラシー。」 ジェラシー? 同じタイミングで廿楽が階段に現れた。廿楽は私の隣の怒田の姿を見るなり、瞬足でこっちに来る。 私と怒田の間に入って、怒田を見上げた。 「あー分かった分かった、すぐに退く。」 「分かればよし。」 あれ、廿楽の犬にも見えてきた…。