爆睡した弟を、有岡はおんぶしてくれた。

私は少ない荷物を持って隣を歩く。

夏とはいえ、もう真っ暗だった。

家の結構手前に、人影があって。少しだけ目を凝らす。

あまり見るのも失礼だと思って、近くに来て、見るのを止めた。

止めようと思った。

少し自分の歩くスピードが遅くなったのを感じた。有岡は気にしていないのか、普通に歩く。

すれ違う時、私は不自然なくらい俯いていた。


「私、味噌無いの、忘れてた。」

「今日は味噌汁無くても良いけど。」

「でも明日も使うから。ちょっと買ってくる。」