不良の有岡について。

んー…と有岡が唸って、悩むような素振りを見せる。


「あの、だから、私を陸地に戻して、有岡は泳げる可愛い子と遊んでくれば良いと思う。」

「は？」


我ながら良い考えだと思った。
有岡が海に誘ってくれた真意は分からないけど、弟を喜ばせてくれる為なら私居なくて良い。

そう思いながらも固まった表情を見て、地雷を踏んでしまったのかと考える。

でも、すぐに満面の笑顔に戻った。


「じゃあ泳ぎ教えてやるよ。」

「心の底からお断りするんですが。」

「まあまあ。」


この笑みは、善人の笑みじゃないらしい。