陏が来た瞬間泣いた。

さっきより泣いた。

「そんなに痛い?」

心配してくれるのが余計泣けた。


「保健室行こう?」

「……うん」


あたしが落ち着いたのを見計らって、保健室へ連れていってくれた。


結局、パン食い競争は出るなと言われてしまった。


なんで!?

あたしパン加えたかった!


そう言ったら、

「ぷぷっ、どんな意地よ」

って笑われた。
(陏と先生に。)

手当をしてもらって、あたしと陏は皆が集まるところへ行った。

そこには、侑也様の姿。


あたしは侑也様を呼び捨てで呼ぶのをやめた。


これ以上近づいたらダメって、思ったから。

好きはダメな事。

あたしは会社のために侑也様のメイドになったんだ。

気持ちを伝えて、嫌われて、あたしはメイドから外されて、会社が潰れる。


そんなオチいらない。


だから、しまうの。

この気持ちを。


「森崎、福沢、お疲れ。競技まで休んでろ。」

そう言って担任は皆にこれからを説明し始めた。


椅子はこういう時に隣。

実行委員は隣同士座らないといけないって……


誰が決めたのさっ!!


「……」

「……」

皆が騒いでるのに、すごく静かに感じる。

準備はもう終わって居て、学校全員が来ている。


「あ、森崎は怪我してるから走れないのか……」

先生があたしを見ながら言う。


すみませんね。怪我して


―ガバッ―

へ!?


だるそうに、椅子に座っていた侑也様が急にこっちを向いて足を見た。

「お前っ…怪我してたのか…」

し…自然にっ

自然にっ

「はい、少し擦りむいただけです。でも競技に出れないみたいです。」

あたしはニコリと笑って言った。

心配を素直に喜んじゃ…ダメ。


「……そうか……」

「はい。………」