山下君は私をさっきよりも 強く抱きしめて耳元で 小さく囁いた。 「俺もバスケ大好きだからさ、 先輩の気持ちすげーわかるよ。 でも先輩はひとりじゃないから。 俺と一緒にバスケしよ? もっとバスケ好きになってよ。」 いつもならこんなこんな素直に 山下君の言いなりになんて なってないのに。 普段の私なら振りほどいて 逃げてるはずなのに。 何でなの? 逃げたくても逃げられない。 体が、山下君のぬくもりに 触れていたいって、言うことを聞かない。