それは思いがけないことだった。 「やま…」 まさか、彼の口からそんな言葉が 出てくるなんて。 「幸せに、なって。」 念を押すように言う山下君。 やめて。 胸の奥がぎゅーぎゅーする。 苦しい。 逃げ出したい。 心なしか山下君の目は私を見ているようで 見ていなかった。