異能の姫に初めて乳を含ませたのは、実の母ではなく

座敷わらしの女性であった

実の母の乳の出が悪く、無能の姫に与えるだけしかなかったと、後に座敷わらしから聞いた

異能の姫を産婆以外で初めて抱いたのは父ではなく、
烏天狗であった

父親は母親のことしかなく、
跡継ぎとして今後も会える姫より
永久の別れになる姫を優先したが、
異能の姫と言葉を交わしたのは数回
その全ては形式的なものばかり

異能の姫は、一度として、実の両親から抱かれることも、親子の情などないと信じていた

自身が親になった際も、
わだかまりは消えずにいるとは、
話を聞いたときには思っていなかった