「なんかね?先生が『池上』探して来い!ってね。ほら~私池上君と隣の席だから...」



「あっそうだったんだ」



一瞬、宇佐美さんが勝ち誇ったような顔になった気がした。




....けど、気のせいだよね?



あたしは見なかったことにした。



「だから、ここからは私に任せてよねっ!?美姫ちゃんも、急いで戻ったほうがいいよ?」



「あっ...うん」




.....気のせいなんかじゃない。




あたし、鈍感ってよく言われるけど



そんなあたしでも分かる。



....宇佐美さん、優斗のこと好きなんだ。




あたしに気を使ってくれているように見えるけど



あたしをココから追い出そうとしてる。



だって....。




あたしは視線を下に下ろした。



寝ている優斗の....手をぐっと握る宇佐美さん。



....なんだか、すごいモヤモヤするよ。



けどそんなこといえない。




体中がじわじわっと熱くなってきて



涙が目にたまってきて...。




あたしは「じゃあっお願いね?」と


宇佐美さんの顔を見ないようにして


その場から走り去った。