「美姫おはよー」

教室に入ると、奈々がニヤニヤしながら近づいてきた。


「なっなに?」


奈々は、席に着いたあたしの前にしゃがみこんだ。


「朝から...熱々っすねぇ~♪」


そしてそう笑った。



「っやめてよ!奈々~」


優斗が教室まで送ってくれたから、きっと奈々はそれを見てたんだ。


「もう学年の美男美女カップルってフィーバーやばいんだよ?知ってる?」

「えっ?!なにそれ...」


優斗は...学校1のイケメンとか言われてるからわかるけど...


あたしは平凡中の平凡女子。


「なんか美姫を狙ってた男共も身を引いたんだって」

「うっ...うそだぁ」


そんなことをかる~く本気な顔で言う奈々。

あたしを狙う....?


いやいや、ありえない!


だってあたし、話しかけられたこと...


あんま!ないし。







....あぁ!そうだっ!


今日あたし清掃当番あるってこと、優斗に言い忘れた。



...けど、今行くと奈々がまたバカにするしなぁ..


かといって行くときないし..


もう!しょうがない!


「なっ..奈々?」

「ん~?」

あたしはゴクリと唾を飲み込んで、小さく深呼吸した後


奈々を見た。


「あっあたし、ちょっと...トっトイレ~!!」


けどそんなあたしを見て、奈々は笑った。


「えっ?あたしもいくよぉ~」

いじわるな顔で。

「いやいや..その、すぐ戻るし!」

「でもなぁ~!あたしもいきたい「ゴメン!優斗のところ...行ってくる~!!!」


もう、駄目だ。

と確信したあたしは、きっと顔を真っ赤にして奈々にいい

走って教室から出てきた。