ぐうううう。


なんとも言えない音がして少年が自分のお腹を押さえる。
眉間のしわを更に寄せて瞳を伏せた後、私を見上げた。


「飯!お腹減った!!」

(こ の ガ キ !!!!)


さも当たり前のように食事を要求されてイラッとしたがここは抑えよう。
相手は子供だ。


「うん。分かった。えっと…君は何を食べるのかな?」

「人間の死体」

「に…!?」


驚愕して口元が引きつる。
叫びそうになったのを必死に堪えて少年を凝視すると彼は溜息を吐いた。


「冗談だよバーカ」

「あ、ですよね」


ホッとしすぎて思わず敬語。


「人間はもう100年前くらいから食べてない。今は人間と同じモン食ってる」

「そうなんだぁ……ってはぁあああ!?!?!」

「あ?なんだよ?」

「ににににに…!?」

「キモチワルイ奴だな、さっさと飯作れよ」

「ハイはいはい!只今!」


頭からもぐもぐ食べられる自分を想像して震えあがる。
未確認生物の為、ウソか本当か分からないし、食べられるのは嫌なので私は素直に台所に向かった。