シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



こつん、こつん…。


突然、後から響いてきた靴音。



そりゃ…

いつかは出て来るとは思ってたけどさ…。



こつん、こつん…。



もう少し、なんだよ。



せめてこの2人を逃がしてくれよ。


朱貴は身体張って、お前の妹を助けたんだ。


お前が妹を窮地に立たせても、

それを身体で救った朱貴の姿…判らないはずねえだろう?


感動したろう?


なあ…お前が人間であるのなら。



「周涅…」



赤銅色に彩られた端正な顔。


その名を呼んだのは、朱貴だった。


俺と桜は振り返る。


ある種…避けられねえ事態に、今更知らないフリは出来ねえ。


朱貴は横になったまま、片腕で気を失ったままの七瀬を抱いていた。


愛おしむようなその姿に――



「無様だな…朱貴…。

地を這う蛆虫のようだ。


穢らわしい…」



無慈悲な声が飛んだ。