「煌…顕現が出来るッッッ!!!」
桜が叫ぶと同時に、俺の手が掴んでいた太陽石が偃月刀に顕現する。
そして更に想念を強める。
小振りではなく――
巨大な方に。
不思議に、出来る気がしていたんだ。
愚鈍の俺にはもっともらしい理屈を幾ら説明されても、きっと理解が出来ねえだろう。
ならば、己の心が指し示すまま。
頭より心で。
それこそが鍛錬時に緋狭姉がよく言っていた、"心"だというのなら。
頭で考え心で創り上げてきた偃月刀を、心で成長させて頭で許容させる。
頭と心は表裏一体。
ならば、ただ連動させればいい。
いつもとは逆の現象を、ただそのまま許容すればいい。
そうすれば…
「よし」
巨大化できる。
そして俺は――
自らの力で、
偃月刀を大きく変幻させることに成功した。
手応えを試すように、両手でくるくると回転させた偃月刀は、ただのひと払いで、多くの奴らを後方に吹き飛ばした。
凄え風圧。
軽く振って、これだけの力。
S.S.Aでの威力は幻じゃねえ。
「やっぱ…デカいのは凄えよな」
そう感嘆交じりに言えば、
「無性に腹が立つ…」
桜が何やら呟いた。
「何か言ったか?」
「……。裂岩糸が戻れば、あの穴から逃げられる。さあ後は引き上げ…」
瞬間――
場に緊張感が走った。
威圧的なこの気配。
途中で言葉を切らざるをえなかった桜は、俺に強張った顔を寄越した。

