シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「煌…顕現が出来るッッッ!!!」


桜が叫ぶと同時に、俺の手が掴んでいた太陽石が偃月刀に顕現する。


そして更に想念を強める。


小振りではなく――

巨大な方に。


不思議に、出来る気がしていたんだ。


愚鈍の俺にはもっともらしい理屈を幾ら説明されても、きっと理解が出来ねえだろう。


ならば、己の心が指し示すまま。

頭より心で。


それこそが鍛錬時に緋狭姉がよく言っていた、"心"だというのなら。


頭で考え心で創り上げてきた偃月刀を、心で成長させて頭で許容させる。

頭と心は表裏一体。


ならば、ただ連動させればいい。

いつもとは逆の現象を、ただそのまま許容すればいい。


そうすれば…


「よし」


巨大化できる。


そして俺は――

自らの力で、

偃月刀を大きく変幻させることに成功した。


手応えを試すように、両手でくるくると回転させた偃月刀は、ただのひと払いで、多くの奴らを後方に吹き飛ばした。


凄え風圧。

軽く振って、これだけの力。

S.S.Aでの威力は幻じゃねえ。


「やっぱ…デカいのは凄えよな」


そう感嘆交じりに言えば、


「無性に腹が立つ…」


桜が何やら呟いた。


「何か言ったか?」


「……。裂岩糸が戻れば、あの穴から逃げられる。さあ後は引き上げ…」



瞬間――

場に緊張感が走った。


威圧的なこの気配。


途中で言葉を切らざるをえなかった桜は、俺に強張った顔を寄越した。