シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「ぎゃあああああ!!!」


しかしそれが女に対して、超有効であるのなら。


ワンワンワンワンッッッッ!!!


「来るな来るな来るなッッッ!!!」


ワンワンワンワンッッッッ!!!


精神を乱しまくった女は気づかねえ。


足元の…大事な大事な黄色い布が燃えていることにも。



「煌、横ッッ!!!」


横から飛び出してきた、恰幅のいい仮面男。

獣のように歯を剥き出しにしているのは…女に仇なす敵とみなしたのだろう。


大砲のような巨体なのに動きは素早い。


だが俺は、一瞬でその男の背後に回り込み、後からその首を腕で締め上げた。

ボキンという音が聞こえた時、男も女も一斉に再び飛びかかってきた。


「気をつけろ!!!」


桜も既に乱戦中。


決して七瀬と朱貴に触れさせるな。


それだけを心に誓って俺達は戦う。



朱貴は――

もう動く力も残っていないらしい。


力の大部分を女に持って行かれたのか。


絶倫朱貴のどこまでの精をあの女に奪われたのか…男として下卑た興味はあるけれど、聞かないでおこう。


それでも…


「紫…茉…」


意識があり、じりじりと七瀬に動く気配見せているだけ、朱貴はあの女の誘惑に打ち勝ったと言えるだろう。



「紫…茉…よか…っ…た…」



震えた声が聞こえた時、胸が切なくなった。


残る朱貴の力は全て、七瀬に向けられるべきだ。


お前が身体を張ったのなら、

此処からは俺達の出番。


お前が頑張ったのなら、

今俺達だって頑張る。