「ぎゃあああああ!!!」
しかしそれが女に対して、超有効であるのなら。
ワンワンワンワンッッッッ!!!
「来るな来るな来るなッッッ!!!」
ワンワンワンワンッッッッ!!!
精神を乱しまくった女は気づかねえ。
足元の…大事な大事な黄色い布が燃えていることにも。
「煌、横ッッ!!!」
横から飛び出してきた、恰幅のいい仮面男。
獣のように歯を剥き出しにしているのは…女に仇なす敵とみなしたのだろう。
大砲のような巨体なのに動きは素早い。
だが俺は、一瞬でその男の背後に回り込み、後からその首を腕で締め上げた。
ボキンという音が聞こえた時、男も女も一斉に再び飛びかかってきた。
「気をつけろ!!!」
桜も既に乱戦中。
決して七瀬と朱貴に触れさせるな。
それだけを心に誓って俺達は戦う。
朱貴は――
もう動く力も残っていないらしい。
力の大部分を女に持って行かれたのか。
絶倫朱貴のどこまでの精をあの女に奪われたのか…男として下卑た興味はあるけれど、聞かないでおこう。
それでも…
「紫…茉…」
意識があり、じりじりと七瀬に動く気配見せているだけ、朱貴はあの女の誘惑に打ち勝ったと言えるだろう。
「紫…茉…よか…っ…た…」
震えた声が聞こえた時、胸が切なくなった。
残る朱貴の力は全て、七瀬に向けられるべきだ。
お前が身体を張ったのなら、
此処からは俺達の出番。
お前が頑張ったのなら、
今俺達だって頑張る。

